用語集
山精雑魅鬼神(さんせいざつみきじん)とは…
山や木などの自然物に宿っていると信じられている、人智人力を超えた精霊悪鬼の類をいう。
『法華験家訓蒙』に述べてあるところによると、明治の初年頃、鎌倉地方で鉄道建設の際、古墳の移転工事を行った人夫が、あるいは発狂し、あるいは死者の姓名を名乗って、その墳墓を発掘したことを怒り、奇異の挙動をなしたのを、世間の人が見て、墓の亡魂のたたりであると恐怖して、祠を作り亡魂を祭祀したことがあったという。
『訓蒙』には、これは亡魂のたたりでなく、山精雑魅の類のしわざであると説いている。
その根拠として「仏説灌頂経』第七に、凡夫の塚塔には善神の守護無く、常に山精雑魅鬼神が付着し、飯食を求め、変化をなして世人に恐怖を与えるのを、凡夫が神や魂のしわざとなすのは、邪をもって正とし魅をもって神となす誤りであると説いてあることを引用している。